60歳までに貯蓄3000万円|節約・貯金・家計管理まとめ

節約・貯金・家計簿の教科書

タグ:人生

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あなたは「生涯独身」と聞いて、どんなイメージを思い描くでしょうか?

孤独で不幸なイメージでしょうか?それとも優雅で気楽な“独身貴族”のイメージでしょうか?

以前の記事(破滅の老後ストーリー|独身男性編)では、独身生活の豊かさにかまけて、結果的に貧しく暗い老後を送ることになってしまった一人の不幸な男のストーリーをご紹介させていただきました。

今回はその続編として、生涯独身ながら幸せなバラ色の老後を送った、とある男性の人生をご紹介したいと思います。

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福富 勝太の憂鬱。

僕の名前は福富 勝太(ふくとみ かつた)。 品川にある大手のエンタメ系企業に勤める35歳である。

中肉中背、顔も性格も中の中(と昔付き合っていた彼女に言われたことがある)。

特別なんの目立った特徴もない無味無臭の男だが…唯一のセールスポイントといえば、勤めている会社が、名の知れている大企業だということだろうか。

うちの会社はそこそこの人気企業で、よく就活中の大学生が選ぶ“入社したい企業”の上位にランクインすることも多い。

なので周囲からはよく羨ましがられるが…入ってしまえばごくありふれた普通の会社だし、給料だってけして高いほうではない。

いまは会社の業績も悪くないのでボーナスも出ているが、それを含めても手取りで32万円前後の計算だ。

まあ、仕事の内容はそれなりに楽しいし、プライベートを大切にできる時間的な余裕もあるので、一生懸命に働いて会社の業績に貢献し、なるべく長い期間この会社で働きたいと考えている。


もしかしからこのまま生涯独身かも…

残念ながら、僕には彼女がいない。もちろんいままでには(少ないながらも)何人かの女性とお付き合いをしてきたし、なかには結婚を意識した女性もいた。

しかし、僕自身になんとなく一歩を踏み出す勇気がないまま数年間ダラダラと放ったらかしにしてしまい…結局はその彼女とも自然消滅してしまったのだ。

それでもしばらくは“婚活”に精をだしていたのだが…最近はなんとなくそういうのも億劫になってしまい、今では「まあ、一生独身ってのもありなのかな。」と思い始めている。


独身だからこそ貯金が命綱。

そんなことを酒の席なんかで友人に打ち明けると、「いいね〜独身貴族!気楽でリッチでさ。俺も結婚なんかしなきゃ良かったよ。。」と決まって結婚生活のグチ大会がはじまるというつまらない展開をむかえるのだが…

しかし、それが誤った認識であることを僕は知っている。

生涯独身ということは“身寄りがない”ということだ。万が一、働けなくなるほどのケガや病気になったときに頼れる配偶者はなく、老後を心配してくれる子も孫もいない。

少子高齢化の日本には、独身者を優遇してくれる法令もなく、年金も(当然ながら)自分ひとり分しかもらえない。

僕が老後をむかえるころには両親はとっくに他界しているだろうし、ひとりっ子の僕には血のつながった兄弟姉妹すらいない。

つまり生涯独身とは、現役時代の気楽で裕福な暮らしとひきかえに、将来への漠然とした不安と孤独におびえる暮らしを続けることに他ならない。

将来の自分を守るものは“いまの自分自身”しかいない。だからこそお金(=貯蓄や資産)だけが唯一の命綱なのだ。


僕の老後には、最低いくら必要…?

それからの僕は、だらだらとムダ遣いが多くろくに貯金もしない生活を根本的に見直し、お金に対する意識と行動を変えていくことにした。

まず、定年後にどれだけの老後資金が必要なのかをいろいろと試算してみることから始めた。

もし、60歳で定年退職をして継続雇用の道がなかった、もしくは体を壊して働けなかったと仮定し、さらに年金の受給が現行の制度(65歳)より5年うしろ倒し(70歳から)になってしまったとしよう。

1カ月に必要な生活費を最低17万円(家賃などの住居費を含む/介護付き有料老人ホームの月額もだいたいそのくらい)とすると、60~70歳までの10年間に必要なお金は2,000万円ほどとなる。

70歳からは少なく見積もっても15万円の年金がもらえるとすると、年金でまかなえない赤字が毎月2万円ほど発生することになる。これも貯蓄をきりくずす形となるだろう。

日本人男性の平均寿命は80歳(女性は87歳)くらいだが、これは年々のびているので仮に90歳まで生きるとして計算すると、70~90歳までの20年間に必要なお金は480万円となる。

つまり、60歳で定年退職し90歳に他界するまで、年金以外には収入がないと仮定すると、僕の老後に必要なお金は最低2,500万円ほどになるだろう。

さらに医療・介護費や、高齢者向け施設に入所する頭金やらを考えると…ざっくりだが+1,500万円ほどを上乗せ。すると、僕の定年までの貯蓄目標はとりいそぎ4,000万円に定まった。


貯金2万円→13万円へ改善…!

僕はいま35歳なので、今から60歳までに4,000万円の貯蓄を作ろうとすると、年間160万円/月13万円の貯金が必要だ。

いまの手取り収入が32万円なので、13万円の貯金をしようとすると月々19万円で暮らさなきゃいけない。“独身貴族”なんて言葉にはほど遠いが…これが現実。

現状では月2万円ほど(場合によっては0円)の貯金しかできていないので改善は大変だが、なんとか頑張るしかない。

それからの僕は家計改善に関する書籍を読みまくり、インターネットでノウハウを吸収し…なんとか月13万円の貯金を捻出することに成功した。

以下にその詳細を記しておこう。

【家計改善ビフォーアフター】
・住宅:8.5 → 6.4万円
・食費:5.0 → 3.5万円
・水道光熱費:1.5万円 → 変更無
・通信費:1.6 → 0.6万円
・保険料:1.2 → 2.2万円
・日用品雑費:1.3万円 → 変更無
・衣類:3 → 1万円
・家具インテリア:3.5 → 1万円
・他お小遣い:2 → 1.5万円
・カード分割払い:2.4 → 0万円
・貯金:2 → 13万円
※左が改善前、右が改善後の金額


ガチンコの家計改善…?

つぎに僕が何をどうして家計改善を実現させたのか?にくわしく触れておこう。

⚫︎郊外へ引越し

まずは思い切って、都内から郊外のマンションへと引越しをした。多少交通の便が悪くなり通勤時間は伸びたものの…実際に電車に乗っている時間をくらべると片道たった20分ほどの差だ。

引越しにはなんだかんだでそれなりのコストがかかったが、家賃は月2.1万円も安くなった。1年間で25万円、30年間では750万円の節約だ。この効果は大きい。

⚫︎月のショッピング予算を決める

それまでは予算を決めず、給料が入ったら入っただけ買い物で使ってしまっていたが…

服やインテリア、その他のお小遣いを合わせて8万円以上使っていたお金を、予算3.5万円までとした。月5万円の節約だ。

なかば習慣化していた浪費グセをなおすのは予想以上に苦しかったが…そのうちすぐに慣れた。

⚫︎外食を断って自炊中心に

毎日の社外ランチをやめ、リーズナブルな社食やお弁当に変えた。毎週のように行っていたお酒のつきあいも、意識して半分くらいに減らした。食事は毎日のことなのでそのぶん節約効果も大きい

⚫︎ローンは一括返済

数十万円ほどあったなけなしの貯金をはたき、ショッピングローンの残りを一括返済した。毎月の利息がかからない分、トータルではそこそこの節約になっただろう。

⚫︎保険だけはプラスオン

唯一、支出を増やしたのは保険だ。むかし保険会社に就職した友人にむりやり加入させられた保険をすべて見直した。

掛け捨て型の保険は安いが文字通りなにも起こらなければまったく無駄になるし、大きな死亡保障のものは保険金を受け取るひとのいない生涯独身の僕には必要ないので、葬儀代などの最低限のものを残し解約。

代わりに、月々の支払いは大きいが終身型でいざという時には解約返戻金がもらえる貯蓄型保険を中心に加入しなおした。


新築戸建のマイホームを購入?

その後、ちょっとずつだが順調に昇給した僕は、マイホームの購入へ踏み切ることにした。

家賃の安い郊外に引っ越したとはいえ、賃貸のままでは死ぬまで家賃を支払い続けなくてはならない

逆に持ち家であれば、住宅ローンさえ完済してしまえば後は修繕費以外の支出は不要となるのだ。

物件は将来的な投資価値も考え、需要が下がりにくい地方都市の駅近のものを選んだ。あまり広すぎない手頃な大きさ&手頃な金額の物件である。

どんどん人口が減少し続ける日本の状況を考えると、駅から遠いマンションを買うよりも、交通の便のよい駅近の戸建を買ったほうが値崩れしにくいらしい。

また、広く大きな物件は売買価格が高くなるし、核家族化であまり広い物件は売りにくくなる可能性が高いということだ。

独り身の僕には贅沢すぎる住みかだが…不要になれば貸したり売ったりもできるし、自分は介護つきの高齢者向け賃貸へ移り住んでもいいだろう。



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HOME ゼロから学ぶ貯蓄&資産運用 > [バラ色 老後ストーリー]生涯独身、福富 勝太の憂鬱 episode2
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倒れても収入を得られる仕組みを…!

生涯独身というのは、自分が病気やケガで倒れても誰も助けてくれる人がいない状態のことだ。

もし体の自由がきかなくなり会社に出勤できない状況になったとしたら…考えただけでもおそろしい。

僕は、もし自分が倒れてもお金が入ってくる仕組みをつくるため、副業の勉強をはじめた。

はじめての副業に選んだのは、インターネットで情報サイトを作りSEOで検索結果の上位にあげ、広告収入をあげるビシネス、いわゆるアフィリエイターだ。

じつは僕は趣味でラジコンやプラモデルの制作をしており、その手の雑誌にもよく取りあげられている、その世界ではちょっとした有名人である。

サイト内では制作のコツやカスタムのノウハウをまとめたり、おすすめの道具や書籍を紹介するなど、ほぼ毎日更新をおこなった。

アクセスは少しずつだが順調に伸びていった。その後も秋葉原のイベントや店舗情報をまとめたサイトや、中国語を4コマ漫画で紹介する語学サイトなどをつくり…

やがて3年が過ぎるころには広告収入で毎月10〜15万円前後の副収入が得られるくらいにまで成長していた。

SEOも独学で学んだわりにはとてもうまくいき、いまでは更新をしなくても検索から毎日数千人のアクセスがある状態だ。

これで万が一、普通に働けなくなったとしても、暮らしていくだけの最低限の収入は得られるだろう。

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そして定年。第二の人生は…?

ーーあれから数十年がすぎ、僕は60歳になっていた。

退職金は予定より少なかったが…住宅ローンは完済していたし、副業もうまくいっていたので再雇用制度は使わなかった。

まわりからは「まだ働けるのに働かないなんて、ずいぶん貯めこんでたんだな。」とイヤミを言われたが…

実際そのころには目標としていた貯蓄4,000万円は余裕で超えていた。

なによりも、副業としてはじめた自分の事業が楽しすぎて、早くそちらに集中したかったことが大きい。


現役時代以上の収入に…!

年金は予測よりも早く65歳からの需給となったものの、やはり大幅に金額は減らされていた。

それでも私にはじゅうぶんな貯蓄とサイドビジネスによる収入があったため、生活には余裕があった

その頃には複数の情報系サイトのほかに、語学サイトを作りながら学んだ語学力を活かして、秋葉原で仕入れたさまざまな商品を海外へ売る通販事業などにも着手していた。

独学でアプリ開発も学んだし、動画にもチャレンジした。もちろん、うまくいかずに途中であきらめたものも多かったったが…

つねに新しい収益源をつくる努力を重ねたことで、僕には65歳を過ぎたいまでも現役時代以上の収入がある。


年4回の海外旅行とサークル活動。

お金にはかなり余裕ができたので、最近では年に4回の海外旅行を楽しんでいる。

一人で南仏あたりをぶらりと旅することもあれば、サークルで知り合った仲間たちとオーストラリアやカナダの自然を満喫しに行くことも。

仲間とワイワイと楽しむのも悪くないが…どちらかというとタヒチあたりの海辺のホテルで、ひとり読書をしながらのんびりと時間をムダ使いするほうが好きだ。


そして、リゾート型老人ホームへ…

80歳をいくつか過ぎ、そろそろ体が辛くなってきた僕は、リゾート型老人ホームと言われている介護付きの高齢者施設に入居することにした。

不動産をはじめ、それまでに蓄えてきた資産のほとんどをつぎ込んでしまったが、ここはその価値のある場所だ。

ホテルのように広くて綺麗な部屋。目の前かに広がる雄大な海。天然温泉に、屋内の温水プール。1日3食の温かい食事。敷地内には提携の病院まであり、介護サービスも充実している。

ここならば、終(つい)の住処としても悪くないだろう。


エピローグ

生涯独身で良かったか?」と問われれば、答えはNOだ。

おなじ施設に入居する友人に彼らの子や孫が訪ねてくると、嫉妬とも羨望ともつかぬ気持ちが沸き起こり、とても深い孤独を感じてしまう。

あの時もしも結婚に踏み切っていれば…今とはまったく違う、温かい家族に囲まれた人生を送っていたのではないかと。

しかし、「今の人生が不幸か?」と問われれば、それもまたNOだ。

僕は自分の歩んできた人生にそれなりに満足しているし、たくさんの友人と交流をもち、豊かで充実した生活を送ってきた。

いつ死んでも満足だと考えていたし、実際にいつもと同じあの白いベッドのうえで87年間の生涯を終えたあの日も、別段不満も後悔もなく静かに現世と別れを告げた

*   *   *

親族のいない簡易葬儀は、当の故人から見ても滑稽なものだった。

しかし、旧くからの友人の何名かは老体に鞭を打って僕の葬儀に訪れてくれたし、そのうちの数人は僕のために涙を流してくれた。

僕は、それでじゅうぶんだった

最近は足も目も悪くなっていたのでなかなかできなかったが…今度晴れたら、久しぶりに海を眺めながら、また大好きな読書でも楽しもうと思っている。

※文中の制度や年金などについては、個人的に将来予測される仮説を書いたものであり、実際とは異なる場合がございますのでご了承ください。 

[文:Sancho]


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●034
厳しかった残暑も終わり、ようやく9月の涼しさを感じ始めたある金曜日の午後だった。

わたしは医師より“がん”の宣告をうけた。

それはTVドラマなどで見るような仰々しいものではなく、あまりにもあっさりと事務的な宣告で…

わたしは聞き間違いかと思い、何度かその告げられた病名を聞き返してしまったほどだ。

病院からの帰り道、わたしはどこをどう歩いたのか覚えていないほどに狼狽し、気がついたときには自宅へ向かう川原道をひとりぼんやりと歩いていた。

いつもなら見るたびに感動していた美しい夕陽も、色褪せ歪んで見えた。

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46歳で突然のがん宣告に家族は…

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わたしの名前は“M”とでも言っておこう。

8月に46歳の誕生日を迎えたばかり、某零細出版社に勤めるしがないサラリーマンだ。

わたしには2歳年下の妻と、高校2年生の娘がいる。

妻はどんな時にもわたしを気遣ってくれる優しい女性だ。娘も難しい年頃ではあるものの、巷で聞くような父親を毛嫌いするということもなく、明るくまっすぐに育ってくれている。

わたしが“がん”であると打ち明けた時にも、二人はわたしのためにひとしきり涙を流し悲しんでくれた。

そして「一緒に頑張ろう」と励ましてくれたのだ。


“がん”にともなう二つの恐怖

自分が“がん”だと知ったとき、二つの不安と恐怖が頭をよぎった。

一つ目はもちろん自分の“命”が失われることへの恐怖。二つ目は“お金”への不安だ。

“がん”になればもちろん、入院費や治療費などのお金がかかる。治療で働けなくなれば、当然ながら収入も減るだろう。

住宅ローンも残っており、娘の教育費もこれからまだまだかかると言うのに、まさか“がん”だなんて…。


がんの治療費・入院は?

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しかし嘆いてばかりもいられない。

わたしはがん治療にかかる治療費と入院日数について調べてみた。

がんは、その他の病気と同じように健康保険などの“公的医療保険”が使えるため、自己負担は3割でOKだ。

がんを患った場合にかかる治療費と入院期間の平均は以下の通りとなっている。

[種類|治療費(3割負担分)|入院日数]
⚫︎乳がん|18万円ほど|平均12.2日
⚫︎肺がん|13万円ほど|平均11.5日
⚫︎気管支がん|13万円ほど|平均11.5日
⚫︎胃がん|25万円ほど|平均20.2日
⚫︎直腸がん|23万円ほど|平均16.8日
⚫︎結腸がん|28万円ほど|平均19.9日

(社)全日本病院協会より

わたしの場合は“胃がん”なので、平均では25万円ほどの自己負担が相場らしい。

もちろん、がんの進行具合や治療の方法、手術の有無によってもこの金額はおおきく違ってくるだろう。


高額療養費制度でさらに負担減

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この公的医療保険というやつは意外と優れもので、月の医療費(3割の自己負担分)がある一定の金額を超えてしまった場合は、超えてしまった分のお金があとで戻ってくる“高額療養費制度”というものまである。

戻ってくる金額は年齢・所得・支払った医療費の金額に応じて異なる。

たとえば46歳で年収450万円のわたしの場合、月に25万円の医療費がかかったとしても最終的な自己負担額は8.6万円/月ほどで済むのだ。

さらに、高額療養費制度の対象となる月が1年以内に3回以上あると、4回目以降からはさらに自己負担がぐっと軽くなる。

…これらの公的医療保険の制度を使うことで、わたしの場合は最初の1年で35〜36万円ほどの支出で済ませることができた。

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自己負担は少ないが…治療は長期に

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しかし、人生はそう上手くはいかないものだ。

35〜36万円の自己負担と聞くとほとんどのひとは「なんだ、そんなものか…。」と思うであろう。

しかし、これが長引くととても悲惨な結果になる。

わたしのがんは幸いにも致命的なものには至らなかったが、それでも治療は長期に渡った。

わたしの場合は入院はごく短期間で、基本的には化学(薬物)療法を中心に行なわれた。

最近のがん治療では手術をともなう入院での治療は減ってきているらしく、通院(外来)での治療が多いのだそうだ。

しかし、直線患部を切りとれる手術療法と違い、通院を続けながらの薬物療法や放射線療法は長期に渡って続くことが多い。

高価な抗ガン剤による治療が長く続くため…当然ながら家計への負担は重いものとなり、それがもとで破産することさえあるそうだ。


家計に大きな負担がのしかかる

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がんになると、収入も減る。

がん治療をおこなっている患者は、収入が平均10%〜30%も減ってしまうという調査報告を読んだことがある。

わたしの場合も多分にもれず、通院や検査による欠勤・早退・時短勤務などにより、年収は2割も減ってしまった。年間90万円の収入減だ。

月に平均3万円の医療費の支出に加え、7~8万円の収入減…。

つまり月々の家計は以前にくらべて10万円以上も苦しくなったのだ。がんが見つかった当時には800万円ほどあった貯蓄は、みるみるうちに減っていった。

…かと言って、打つ手はあまりない。収入の良い他の仕事を見つけて転職、というのもかなり無理がある。

まだまだ現役を続ける必要があるわたしのような世代の場合、“いかに仕事を続けるか” “いかに収入を絶やさないか”を考えなくてはならないのである。


冷たい視線に耐える、孤独な日々

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会社の同僚たちもはじめのうちは応援し励ましてくれていたが、そのうちだんだんと視線が冷たくなってくる。

早退や欠勤が続き、忙しい時期でも無理ができないわたしに対して、面と向かってイヤミを言う者もいた。

まあ気持ちは理解できる。逆の立場だったらわたしもそうしたかもしれない。それが人間というものだ。

わたしはただ、耐えるしかなかった。いっそ辞めてしまおうと思うこともたびたびあったが…いつか完治できる日を信じ一人で孤独な戦いを続けていた。

家族だけがわたしの心の支えだった。


がん保険の大切さを痛感

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わたしたち一家の家計が苦しくなってしまったのは、もう一つ重大な理由があった。それは「保険」である。

保険に加入していなかったわけではない。わたしも妻も、公的保険な保険だけではなく、民間の「医療保険」にもしっかりと加入をしていた。

しかし通常の医療保険の多くは“手術”と“入院”を保障するものであって、わたしのようながん治療を“通院(外来)”中心でおこなう者にとっては、あまり意味のないものと言わざるを得ない。

それに比べがん治療に特化した「がん保険」であれば、はじめてがんと診断されたときに100万円などまとまったお金(診断一時金)を受け取ることができる。

さらに「抗がん剤治療特約」「放射線治療特約」などをつけていれば、通院での治療が長引いたとしてもまずは安心だ。

過去のことをどうこう考えてもしかたないが…なぜ保険についてもっと真剣に考えてこなかったのかと、悔やんでも悔やみきれない。

母方の家系にはがんで亡くなっている者も多く、こうなることはある程度予測できたはずなのに…。

 


子供の進学にも影響が…

わたしのがん治療が長引いたおかげで、娘の進学にも影響が出てしまった。

娘は、できれば東京にある私立大学に通いたいと考えていたようなのだが…苦しい家計の影響で地元の短大に進学することとなった。

わたしたち夫婦は「気にすることはないから、行きたい大学にいきなさい。」と話してはいたのだが、物わかりの良い優しい娘は、両親の苦労を思って「短大で勉強したいことがあるから」と言って聞かなかった。


家も手離し一家離散…

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治療と通院は断続的ながら長く続いた。気がつけば、はじめてがんと診断されてから3年の月日が経っていた

この3年で失ったものは、とてもとても大きい…。

会社では役職をすべて失い、すでに雑用係のあつかいだ。娘にも妻にも我慢をさせてばかりだった。

長期にわたる抗がん剤の投与により、わたしはすでに“おじいちゃん”と言われても違和感のない風貌に変わり果ててしまっていた。

また、長引く医療費支出と収入減によって家計は困窮し、わたしたちはついに住む家までも売りに出した

妻と娘は妻の実家に移り住み、わたしは会社と病院に通いやすいエリアに安アパートを借り一人暮らしをはじめたのだ。

家族だけを心の支えとしていたわたしにとって、とても辛く苦しい決断だった。

なんども打ちひしがれ、たびたび襲ってくる不安と恐怖に耐えながら、それでも一縷の希望を頼りにわたしは毎日を生きていた。


がん闘病の果てに…

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それからまた、2年の月日が経っていた。 わたしたち家族を長いあいだ苦しめてきた“がん”は、このところその姿を見せていない。

わたしは体力を取り戻し、会社では総務課長として新たなキャリアを築いていた。給料もがん宣告前の金額にまで戻ってきていた。

会社の同僚たちも祝福してくれた。長期にわたるイレギュラー勤務にもかかわらずわたしを雇用し続けてくれた会社には、心の底から感謝している。

妻と娘は、2ヶ月前からわたしの暮らすアパートで一緒に生活をしている。来月にはもう少し広いマンションへと引越しをする予定だ。

まだまだ生活は苦しいままだが、老後に向けての貯金ができるまでに家計は改善をしていた。

妻もこの数年のあいだに日本語教師の資格を取得し、家計に寄与してくれている。

“がん”の再発がいつまた見つかるかはわからないが、いつ見つかってもいいように、最大限の努力をしていこうと思う。

[文:Sancho]


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ノンフィクション03
さて、今回はちょっと切ない物語をご紹介しようと思います。

ある知人を通して知り合った、今年50歳になる男性のお話です。彼を仮に“N氏”と呼びましょう。

N氏はつい6~7年ほど前まで世界的な大手電機メーカーに勤め、誰もがうらやむような豊かな生活を送っていました。

ところがいま現在N氏は、ガソリンが切れた車の中で辛うじて雨風をしのぐ極貧生活を送っています。寒さと飢えで命の危険を感じながら、わずかな日銭を稼いで生きています。

いったい彼の人生に何が起こったのでしょうか?

今回は当サイトのテーマである“お金”と“将来への備え”に絡めて、彼の悲劇の半生をご紹介したいと思います。


順風満帆だったサラリーマン時代

私の名前はNと言います。
私は大学卒業後、新卒で某大手電機メーカーへと入社しました。

世界中の誰もがその名を知る、音楽プレーヤーやノートPCで一世を風靡した日本を代表するマンモス企業です。

両親が歳をとってから生まれたため、幼い頃から甘やかされて育った私は、

やっと自分自身の手で勝ちとった自立した暮らしに満足し、公私ともども充実した毎日を送っていました。

時はバブル末期からいよいよバブル崩壊の大不況を迎えようかという時代。

会社のお偉いさんたちは事あるごとに「危機感をもて!」と騒いでおりましたが…

会社の末端である私のような一般社員は、あまり真剣にその言葉を受けとることができずに、毎日のルーティンワークに忙殺されていました。

そんな中、私は2年遅れて入社してきた新入社員(のちの妻)と恋におち、3年ほどの社内恋愛を経て結婚をすることになりました。

部長にはイヤミを言われましたが…しっかりと乾杯の挨拶を引きうけてくれましたし、世に名だたる一流企業の社員にふさわしい、盛大で豪華な披露宴を行うことができました。

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都心の一等地にマンションを購入

出世こそ遅かった私ですが、年収は順調にあがり生活はとても豊かになりました。

32歳になる年には、ちょっと無理をして都心の一等地にマンションを購入。その後も貯金よりもまずは繰り上げ返済を優先し、後顧の憂を断つように努力してきました。

貯金はだいぶ減ってしまいましたが…まあ会社さえ潰れなければ貯金はまた貯めればいいと思っていたので、それほど不安ではありませんでした。

妻は子供が小学生にあがったらまた正社員で働きたいと言っていましたが、私は“妻を働きに出すなんて男として恥ずかしい”と考えていたので…

専業主婦でもいいじゃないかと説得し、妻は渋々それに従ったのでした。


まさかの業績悪化とリストラ

ちょうどそんな頃からだったでしょうか、私の勤めていた会社は業績悪化による人員削減を徐々に推し進めていました。

期待されていたいくつかの新分野からも事業を撤退させ、大規模な赤字決算が新聞を賑わすようになっていったのです。

しかし私たち正社員の面々は、まさか自分たちにまでその業績悪化の影響が及ぶとは考えていなかったため、

だんだんと数を減らしていく非正規雇用のメンバーの様子を、遠くから他人事のように眺めていたのです。

私だけではなく誰もが「やがて景気はよくなる。いつかは昔のような栄華を取り戻せる」と信じて疑いませんでした。

そう、あの日がやってくるまでは…。



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ノンフィクション02

そして、辞令は突然やってくる

その辞令はある日突然、私のもとへやってきました。

上司から会議室へと呼ばれ、来月から急きょ“グループ会社へ出向”となる旨を告げられたのです。

上司からは「まあ、なに。3年もしたら呼び戻してあげられるからちょっと我慢してくれ。Nさんの力で●●●(出向先)を盛り上げて欲しいんだ。」とキレの悪い口調で励まされました。

しかしその出向先は、数年後に事業撤退と“お取り潰し”が確定している不採算部門だということは、社員ならだれもが知っている事実でした。

つまりこれは「追い出し部屋」への左遷であり、明確な戦力外通告だということ。

私は突然自分の身に降りかかった出来事に頭が真っ白になり、身体からは冷たいイヤな汗がふきだすのを感じました。

「まさかこんな日が来るとは…」
「まさか自分がリストラの対象になるとは…」と。

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追い出し部屋の、屈辱な日々

通称「追い出し部屋」と呼ばれているグループ会社での待遇は、とても屈辱的なものでした。

私を含め数十人もの戦力外メンバーは、はじめこそ研修やら新事業のための企画書作成やらと、もっともらしい仕事を与えられてはいましたが…

数か月経つとまったく仕事がなくなり、ごくたまに他部署からデータ入力などの単純作業の依頼がある他は、

自分でなにかやる事を探さなければ、一日中本当になにもする事がない日々が続きました。

3か月毎におこなわれる業績評価では、毎回最低ランクの評価をつけられました。

後から聞いた話によると、追い出し部屋にいる全員が最低ランクの評価にされていたとのこと。

つまり3か月毎に一律で給与を下げ、プレッシャーをかけつつ人件費の削減を行なっていたのです。

そんななか追い出し部屋のメンバーは、1人減りまた1人減りと、会社を辞めていくメンバーが徐々に目立つようになってきました。

かつては「天下の●●●(社名)に勤めているんだぞ!」と胸を張って毎日を過ごせていたのに…

いまでは「お前は会社に必要ない!」と戦力外の烙印を押され、毎日なんの生産性もないムダな時間を過ごしているだけなのですから、辞めたくなるのも無理はありません。

入社以来はじめて着るブルーの作業着(組み立て工場などで作業員が着るユニフォーム)に身を包み、他の部署の人間からも差別的な視線を浴びつつ、

これで平常心を保っていられる人間がいるとしたら…そっちの方が異常だと言えるでしょう。

みんなプライドをボロボロに傷つけられ、多くは軽いうつ病のような状態になりながら、会社を去っていきました。

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そして希望退職へ

もちろん、私ももはや限界でした。

感情の起伏が激しくなり、あまり好きじゃなかった酒を口にする機会が増えました。

家でひとりで酒を飲みながら、気がつくとボロボロと涙を流しているなんてこともよくありました。

「いますぐにでも会社を辞めたい。こんな毎日から逃げ出したい。」

「でも住宅ローンと教育費に追われて貯金はほとんどない。転職活動をするにも生活が苦しい。」

「なんで俺がこんな目に会わなきゃならないんだ!?」と…。

ちょうどそんな折でした。
ある日本社から“希望退職者を数百人規模で募る”という通達が送られてきたのです。

少ないながらも割増退職金も出るというその悪魔の誘いに、私は躊躇なく飛びついてしまったのでした。


再就職できぬまま1年が経過

会社を辞めたとしてもすんなり再就職が決まるとは思っていませんでしたが…私は心のどこかでまだ、くだらないプライドを持っていたのでしょう。

私は東証一部上場の世界的企業に勤めていたんだ、と。年収700万円近い収入を得ていたエグゼクティブなのだ、と。

選り好みさえしなければ、あるいは早いうちに再就職先が決まっていたのかも知れません。

年収が大きく下がってしまったとしても、今のように命の危険さえ感じるようなひもじい暮らしにはなっていなかったでしょう。

しかし私はハローワークでも転職エージェントでも、なかなか転職先に妥協を許すことができず、転職活動はなかなか進展しませんでした。

担当から手渡される求人票を斜め読みし、あれこれとアラ探しをしては担当を呆れさせていましたね。

…そんな状況のまま、退職から間もなく1年の月日が経とうとする頃。私たち家族をあらたな悲劇が襲ったのです。



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ノンフィクション01

妻にがんが見つかり長期治療へ

私がなかなか次の働き口を見つけられないあいだ、妻はスーパーの品出しのパートで働きながら、一生懸命に家計を支えてくれました。

彼女だって高い競争率をくぐり抜けてあの会社に入社し、新人ながらに商品企画部でバリバリと頑張っていたキャリアウーマンだったのです。

本来であればまだまだ働きたかっただろうに…私の独りよがりなワガママで長いあいだ家のなかに閉じ込めてしまっていたのです。

そんな彼女が薄暗い倉庫を長時間行ったり来たりするだけの単純作業の毎日では、とてもやりきれない気持ちだったでしょう。

それでも妻は文句ひとつ言わずに「やりたい仕事をゆっくり探せばいいからね」と焦る私を優しく励ましてくれていたのです。

…しかしそんな中、妻に“がん”が見つかってしまったのです。末期とまではいかないものの、かなり進行した乳がんでした。

妻はだいぶ前から違和感を感じていたのでしょう。忙しさから放ったらかしになり、ようやく訪れた検診でそのがんは見つかりました。

妻は手術をともなう長期的な治療にはいり、私たち家族の収入はとうとうゼロになりました。

私自身はがん保険や医療保険、生命保険に加入していたものの、妻の病気などいっさい想定していなかった私たちは、保険の備えも皆無だったのです。


業務委託でブラック企業を転々

もはや仕事の選り好みなどしている場合ではなくなった私は、いちばん早くはじめられて比較的お給料が良かった業務委託の仕事を受けることにしました。

業務委託は通常、プロジェクト毎などの単位で企業と契約を結んで働く(仕事を請け負う)いわば個人事業主のような方法ですが、

私の場合は派遣会社でいったん雇用されて、さらにそこから各企業へ業務委託として送り込まれるだけですから、

業務委託と言ってしまえば聞こえはいいものの、中身は派遣スタッフと何ら変わりません。

まあ、業務委託を必要としている会社なんて、だいたいメチャクチャな案件を強引に進めようとしているような無謀な会社が多いので

労働環境はこの上なくブラックで、人間関係もまともなところなんてありません。

そんなこんなで心も身体もすり減らしながら、3カ月〜半年くらいの仕事を転々とする日々がしばらく続きました。

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離婚しマンションも売却へ

私がそんな状態ですので、妻の面倒を診てあげることもできず、妻と娘はしばらく新潟にある実家で療養することになりました。

しかし妻の治療は長引き、私も毎日終電帰りで土日もまともに休めないような状態が続いていたので、ほとんど連絡を取ることはありませんでした。

そんな私に向こうの両親も愛想を尽かしたのでしょう。

ある日長い手紙とともに、すでに妻の名前で署名・押印がされた離婚届が自宅に届いたのです。

差出人は妻の母からでした。手紙には、妻や娘とも十分に相談した結果、離婚をした方がよいとの結論に至ったという旨が、丁寧な言葉で長々と綴られていました。

私は本人の口から本音を聞きたいと思いすぐに電話を取りましたが…少し考えて受話器をおきました。

そしてゆっくりとその届書にサインをし、ふだんはあまり開けない居間の引き出しから印鑑を取り出し、判を押しました。

不思議なことに私は、悲しさや寂しさをおぼえるよりも先に、心からホッとしてしまったのです。

「もうこれ以上、妻や娘の人生を背負わなくてもいいんだ…」と。

どうやら私は、心のどこかでこうなることを予測し、こうなることを望んでいたのでしょう。

そう考えると、今さら妻や娘にかけてあげられるような言葉なんてありはしません。

せめてもの罪滅ぼしに、私は一人暮らしに持て余していた広々としたマンションを売り払い、妻と娘へその大部分のお金を送ることにしたのです。


そして、私は車中生活者になりました

妻と離婚が成立してから1~2年くらいは、派遣や業務委託でさまざまな仕事を渡り歩きながら、それでもなんとか食べていけていました。

しかし、そのうち徐々に仕事にありつけない時期が続くようになり、とうとうどこからもお声がかからないようになってしまったのです。

よく考えればその時私はすでに40代後半、もう間もなく50歳にもなろうかという人間です。

私なんかより若くて素直な働き手はいっぱいいますし、クライアント側としても自分よりだいぶ年上の人間に仕事を教えたりするのは、それなりにしんどいのでしょう。

私のような人間が敬遠されるのは、ある意味当然なのかも知れませんね。

正社員でしたら年齢が上がればそれなりに昇給したり出世したりで、生活は豊かになっていくのでしょうが…

派遣や業務委託では年齢が上がれば上がるほど煙たがられますし、仕事が選べなくなるので収入は下がります。

要らなくなればすぐに切られてしまいます。

しかたなく私は今までのようなデスクワークだけではなく、警備員やビル清掃、深夜のコンビニ店員などの仕事をしたりしてなんとか生活費を稼いでいました。

しかしそのうちに家賃を払い続けるのが困難になり、とうとう私は車の中で生活をすることになったのです。

もう1~2年ほど車中生活を続けていますが、以前までの生活に戻りたいとは不思議と思いません。

別れた妻や娘のことは気がかりですが、私がこんな落ちぶれた生活をしていると知っても傷つくだけでしょうから、連絡を取るつもりもありません。

夢や希望や意欲なんてものはなく、いつ死んでもいいかなと思っています。

ただ1つだけ思うのは…「もっと違う選択肢があったんじゃないか?」「もっと上手に生きられたんじゃないか?」という気持ちだけです。

皆さんは、どうか私のような人間だけにはならないように、後悔のない人生を歩んでください。

心からそう願っています。

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N氏はなぜ転落人生を歩んでしまったのか?

いかがだったでしょうか。
N氏が最後に言っていた「違う選択肢」「上手な生き方」とは、いったんどんなものなのでしょうね。

もっと早く会社に見切りをつけるべきだったのか? あるいは意地でも会社に残るべきだったのか?

人生の早いうちに、将来への蓄えを十分に残しておくべきだったのか? 投資や副業で、会社に依存しない生き方を見つけるべきだったのか?

妻の希望通りに早くから社会で働いてもらうべきだったのか? 万が一に備えて妻にも保険をかけておくべきだったのか?

マイホームは無理せずもっと安い物件を購入すべきだったのか? 早期返済よりも貯蓄を優先すべきだったのか?

変なプライドは捨ててどこでもいいから正社員雇用に喰らいつくべきだったのか? 実家や親せきや友人を頼りにすべきだったのか?

・・・いろいろな選択肢がありますが、正直なにが最良の道だったかなんて、誰にも分かるはずがありません。

人生に正解など存在しないのです。

しかしだからこそ、どんな未来が訪れても後悔することのないよう、できる限りの万全の対策を尽くしておきたいものですよね。

※本記事はインタビューを元にした実話ですが、本人および関係者のプライバシー保護を目的に一部を再構成しています。予め御了承下さい。

[文:Sancho]


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money312

私たちはなぜ、貯金をするのでしょう?

それはもちろん、豊かで安心できる未来を迎えるためですよね。

ここに、年収・家族構成・年齢・貯蓄額さえも同じの、ある“2つの家庭”があります。

分かりやすくそれぞれ「金持さん」「貧乏さん」と仮に呼ぶことにしましょう。

時点ではまったく同じような状況におかれている金持さん・貧乏さんですが、40年後の彼らの生活は“まったくの別物”になってしまったのです。

それはまさに「バラ色の老後」と「負け犬の老後」…。

今回は彼らの人生にスポットライトを当て、どこでどう人生が変わってしまったのか?バラ色の老後を迎えるための“お金と人生のターニングポイント”はどこなのか?を見ていきたいと思います。

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負け犬老後ストーリー|貧乏家の人生

私の名前は貧乏 黒男(びんぼう くろお)、中堅の家電メーカーに勤める34歳だ。妻は2つ年下の灰子(はいこ)、大学時代の後輩で私が28歳のときに結婚した。家族構成と収入・資産状況は以下の通り。

・夫:貧乏 黒男 34歳
・妻:貧乏 灰子 32歳
・長男:5歳
・長女:2歳

・夫手取り:25万円/月
・夫ボーナス:40~50万円/年
・住宅ローン:8万円/月(残35年)
・貯蓄:100万円


私たちは34歳で“念願のマイホーム”を手に入れた。しかも新築戸建、良い物件を見つける事ができとても満足している。美人ではないが可愛らしい妻と2人の子宝にも恵まれ、まさに“順風満帆な人生”を送っていたのだが…

まさか私たちの老後が“あんな事”になるなんて…この時には想像だにしなかったんだ。

月の収支はなんとかプラス、ボーナスもほぼ貯金に

私の月収は手取りで25万円、子供2人を抱えてこの金額では、贅沢をする余裕はない。貯金もしなくてはと思うのだが、“毎月の給料から生活費を差し引いて”しまうと、貯金に回せるお金なんて、いつもほとんど残らない…。まぁマイナスになっていないだけ良いとしよう。

それに、幸いにも私の会社にはボーナスがある。大企業にはかなわないが、それでも毎年40~50万円は平均して貰えている。下の子が生まれてからはボーナスのほとんどを貯金に回すことができているため、このままでもなんとか大丈夫だろう。

…しかし将来、この考えが“とても甘かった”ことを痛感するのだが…

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貯蓄は安定重視、投資なんてギャンブルだ

私はこう見えても石橋を叩いて渡る慎重派タイプだ。もちろん資産運用もリスクはゼロであることが大前提。

金融投資なんてとんでもない。あんなものはギャンブルだし、そもそも得をする人がいる一方で多くの人が損をするのが投資の世界。私みたいなド素人が手を出しても儲かるわけがない。

貯蓄は、例え金利が低くても“メガバンクで日本円の預金”が安心。大手の都市銀行なら潰れる心配もないし、やはり円が安心&安定だよね。保険屋からはドル建での保険商材を勧誘されていたけど、為替で損をすることもあるって言うし、あまり興味はもてなかったな。

保険は掛け捨て型で、安く&保障は厚く

手取り収入が少ないので、節約のために保険料も節約している。“掛け捨て型”であれば同じ保障内容であっても“積み立て型”よりもかなり保険料を抑えられるので、(多少もったいない感じがするものの)ほとんどの保険を“掛け捨て型”にすることにした。

そのため、我が家はすべての保険を合計しても毎月1万数千円で収めることができている。

配偶者控除に注意しつつ、妻がパートに

我が家では子供がある程度大きくなった頃を見計らって、妻が“パート”に出ることにした。

しかし同僚に聞いた話だと、妻が稼ぎすぎると損をするらしい。巷では“103万円の壁”と言われているやつだ。扶養が外れてしまうと配偶者控除を受けられないから、住民税や年金保険料を余分に払わなくてはいけない。何より会社の配偶者手当がなくなってしまうのも痛い。

本人は正社員としてバリバリ働きたかったらしいが、例え少しばかり多く稼いでも“税金や年金保険料などで損をする”ことを説明したら、しぶしぶ納得したようだった。

月々の手取りで8万程度、年間100万円弱になるようにコントロールし、103万円の壁を越えないように注意。私としては月々8万円を支払っている住宅ローン分を相殺してくれるのでそれで充分だったのだが…

しかし、これも今となっては後悔している。あの時、妻の希望通り正社員として働いてもらっていたとしたら…

子供も無事に大学卒業、あとは定年を待つだけ

その後、景気の浮き沈みもあり、思ったほどに私の給与は上がらなかったものの、毎年のボーナス貯金と妻のパート収入が功を奏し、なんとか2人の子供を無事に大学卒業まで育て上げることができた。子供の教育費の捻出にはかなり苦労はしたものの、なんとか新たな負債を作らずに済んだのは幸いだ。

住宅ローンも“繰り上げ返済”こそ叶わなかったが、ここまでは無事に返済できている。60歳の定年退職時には残り8年分・800万円ほどの返済が残っている計算になるが、“退職金で住宅ローンを完済”できるので、あまり心配はしていない。

さあ、あとは定年退職を待つだけだ。




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■保険TOP
さて前回は、貧乏さん夫婦の「負け犬 老後ストーリー」(負け犬 老後ストーリー|人生の別れ道は?)にて、ちょっぴり悲しい人生の結末をご紹介させていただきました。

続く今回は、年収や家族構成もまったく同じである金持さん夫婦が送った「バラ色 老後ストーリー」です。

貧乏さんと金持ちさん、スタートは一緒だったはずの両家庭ですが、その未来は大きく違います。

いったいどこがターニングポイントだったのか?その違いに注意しつつ読み進めていただければと思います。

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バラ色 老後ストーリー|金持家の人生

私は金持 富男(かねもち とみお)満34歳。中規模の食品メーカーに勤めている。妻は2つ年下の恵美(めぐみ)、同じ会社の事務員で約6年前に結婚した。家族構成と収入・資産状況は以下の通り。

・夫:金持 富男 34歳
・妻:金持 恵美 32歳
・長男:5歳
・長女:2歳

・夫手取り:25万円/月
・夫ボーナス:40~50万円/年
・住宅ローン:8万円/月(残35年)
・貯蓄:100万円

実は私たち夫婦は今年、大きな人生の転機があった。それは“マイホームの購入”だ。

自然豊かな郊外に建つ新築の一戸建て、安い買い物ではなかったがやはり買って良かったなと思っている。

一国一城の主になった喜びを噛みしめると共に、 “ 家族とその未来を守る責任”をひしひしと感じている。

家計は苦しいが、毎月欠かさず貯金!

私の月収は手取りで25万円ほどしかない。

家計は厳しいことこの上ないが、この先子供の教育費やら物価の上昇、更なる消費税の増税…などで、さらなる厳しさに見舞われることは目に見えている。

そのため、まだ子供が幼いうちに可能な限り貯蓄を増やそうと、いろいろ工夫しつつなんとか家計をやり繰りし、“毎月2万円の自動積立定期預金”を始めた。

自動積立定期預金の良いところは、毎月の給料日に決まった金額を文字通り“自動的に定期預金に積み立て”てくれることだ。

これであれば、貯金に回すはずだったお金を何となく生活費に使ってしまった…なんてこともなくなり、思った以上にお金が貯まっていくのだ。

さらに40歳になったタイミングからは、会社の制度を使い新たに“財形貯蓄(財形年金)”を始めた。

財形貯蓄は毎月の給与から天引きで貯蓄を行ってくれるシステムだが、財形年金であればさらに通常20%かかる“利子への税金が非課税”となるため、

老後の生活費をとてもお得に積み立てることができるのだ。

これらの預金の仕組みを使って、私たちは定年までにかなりの貯蓄を作ることができた。

勝因としては、やはり子供がまだ小さいタイミングで“早くから積み立て預金を始められた”こと。

そして毎月の生活費の残りを貯金にまわすのではなく、まず一番最初に貯金を取り分ける“貯金の先取り”を行ったことだろう。

このことが私たち夫婦を後々まで 守り続けてくれることになる。

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余剰資金ではじめた金融投資

私が勤めている会社には少ないながらもボーナスがある。

毎年平均して40~50万円ほどは貰えているだろうか。私たち夫婦はボーナスのほとんどを貯蓄・資産運用に回すと共に、余剰資金ができ始めた頃からは、その一部を使って“より積極的な金融投資”を行うようになった。

内容としては株式投資や投資信託のようなものから、仕組預金や外貨預金といったものまで。

最初は知識も経験もない中から始めたので、ごく少額の投資から練習していった。

もちろんリスクはあるものの、“短期間に大きく儲けることが目的ではない”ので、堅実に欲をかかないように運用していれば、利益を出すことはそれほど難しいことではない。

途中、資金を大きく減らしてしまった投資があったものの、いくつもの金融商品を組み合わせてリスクを分散させていたため、減らしてしまった分は増えた分でカバーができている。

結果、定年を迎える頃にはかなりの利益を出すことができた。

保険は立派な資産!積立型を中心に組み合わせ

保険は“積み立て型”と言われる貯蓄性が高いものを中心に加入した。

とは言っても、すべての保険を積み立て型にすると保険料が大きく膨らんでしまうので、

私たち家族にとって“何が本当のリスクなのか?”をじっくり考え、掛け捨て型にもピンポイントで加入するなど、メリハリをつけつつ最適な組み合わせをチョイスした。

例えば、万が一私が死んでもマイホーム購入時に“団信”(団体信用生命保険)に入っているから住宅ローンは無くなるし、“遺族年金”も月に十数万円は貰える計算になる。

貯蓄もそこそこ貯まっているはずなので、私の保障は必要最低限に抑えて全体のコストを圧縮させた。

また、妻の保険は“ドル建”で加入。将来的に日本の国家財政は破綻のリスクもあるため、資産の一部は外貨で持っていた方が安心できる。

まあ保険については「これが正解!」という明確な答えは出ないものだが、保険自体も“立派な財産”と考えて自分なりに納得のいく答えを出したつもりだ。


妻も正社員で共働き

下の子が幼稚園に入園したのをきっかけに、妻はまた働きに出ることにした。

妻の実家の近くにマイホームを構えたことも幸いして、妻はフルタイムの“正社員”として採用を受けることができた。

給与は独身時よりもはるかに少ない手取り15万円程度ではあったが、私たち夫婦はこの収入を住宅ローンの繰り上げ返済に充てることで、将来の支払い利息をずいぶん軽くできた。

たまに配偶者控除を気にして労働時間を調整する人もいるが、私としては妻がイキイキと働き仕事を楽しんでいるように感じていたので、

多少時間効率の悪い働き方ではあったものの、妻の仕事を応援し家庭でも積極的にフォローを行った。

余裕を持って教育費を支払い、住宅ローンの繰り上げ返済も

その後は景気の停滞もあり、私の給与は大きく増えはしなかったものの、

子ども達が幼いころから少しづつ貯めた積立の助けもあり、高校・大学の学費も無理なく切り抜けることができた。

住宅ローンも妻の収入から随時“繰り上げ返済”を行なえていたため、ずい分利息を減らすことができ、60歳の定年退職を迎えるころにはすべて完済”できていた。

おかげで退職金には手を付けずにおくことができそうだ。

さあ、あとは定年退職を待つだけとなった。



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■sisyutu
ここに“2人の独身男性”がいます。
それぞれ仮に「福富さん」「冬枯さん」と呼ぶことにしましょう。

彼らは現在まったく同じ年齢・同じ年収・同じ貯蓄を持つ同期のサラリーマン。しかし40年後の彼らの人生は“まったくの別物”になってしまいました。

一体どこでどのように“人生の別れ道”を迎えたのか?是非この点に注目しつつ読み進めて頂ければ幸いです。

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破滅の老後ストーリー|冬枯さんの人生

僕の名前は冬枯 負太(ふゆがれ まけた)。現在は大手のIT企業に勤めている34歳だ。

役職はリーダー、まあ一般企業でいうと課長クラスというところだろうか。

そこそこ名前が知られている会社なので友人からは羨ましがられることも多いが、給料は他の大手IT企業に比べて低い方で、その面がやや不満である。

ちなみに、現時点での僕の収入・家計状況は以下の通り。

冬枯 負太  34歳  独身
・手取り収入:32万円/月
・ボーナス:年棒制のため無し
・貯蓄額:50万円

・住宅:8.5万円(賃貸)
・食費:5.0〜6.0万円
・水道光熱費:1.5万円
・通信費:1.6万円
・保険料:1.2万円
・日用品・雑費:1.3万円
・衣類:3.0万円
・家具インテリア:3.5万円
・他お小遣い:2.0〜3.0万円
・カード分割払い:2.4万円
・貯金0〜2万円(年10〜20万円)


失恋をきっかけに生涯独身を決心

実は2年ほど前までは結婚目前までいった彼女がいたのだが…

いざ式場選びを始めようかという段階でなぜか二人の関係がギクシャクしてしまい、そのまま結婚の話はペンディングとなり、なんとな~く自然消滅的に別れを迎えてしまった。

知人から後で聞いた話によると、実は僕の他にも関係をもっていた男がおり、どうやら同時期にプロポーズを受けしばらく天秤にかけていたようだ。

…まあそんなことはどうでもいい。とにかくもうしばらく彼女なんて要らないし、このまま生涯独身でも構わないとも思っている。


貯金はいつでもできるから、今は独身貴族を楽しむ!

生涯独り身を決め込んだら、かえって僕の気持ちはスッキリ楽になった。

妻のため・子供のために、自分が働いて稼いだお金の大部分を奪われてしまうなんて、僕には考えられない。

聞くところによると、子供一人をひとり立ちさせるためには、1,000万円とか2,000万円のお金が必要になるらしいじゃないか。

独り身なら、稼いだお金はぜんぶ自分のために使える。大好きな北欧家具のコレクションも、ずっと欲しかったウブロの腕時計も、憧れのアウディも…誰にも気兼ねすることなく、全てを手に入れることができるんだ!

老後がちょっと心配な気もするが、そんなことを気にして“今しかない若さ”を楽しまないなんてもったいなさ過ぎる。

貯金なんて僕くらいの年収があれば、その気になればすぐにお金は貯まるでしょ。

今だって、ふた月に1回は家計がプラスになるから、その分はちゃんと銀行にキープしてるしね。

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2~3年に1度は部屋を変えるのがマイスタイル!

持ち家か?賃貸か?と問われれば、僕はだんぜん賃貸派だ。

その時々の気分によって住む土地や部屋を変えていきたいし、逆に同じところに何十年も住み続けるなんて僕は我慢できない。

会社の同僚の話を聞いていると、たかだかマイホームのために30年以上も住宅ローンを払い続けるなんて、馬鹿らしく思えてしまうしね。

引越しの度にかかる引越し代はもったいないけど、幸いにもそのくらいの貯金は確保できるから、なんとか2~3年に一度くらいは転居するペースを維持できている。


4度の転職。もちろん転職の度に年収UP!

僕は計4回の転職をした。まあこの業界であれば特に珍しいことではない。

もちろん、転職をする度に年収は上がっているし、同じ会社で出世を待つよりも遥かに効率が良いはずだ。

転職の際に、前の職場から退職金が貰える場合があるが、頑張った自分へのご褒美ってことで、だいたいは海外旅行などの“自己投資”に使った。

やっぱり若いうちにできるだけ海外を経験しておかないとね。

転職を繰り返したことで、僕の年収はかなりのレベルに達した。

まあIT業界は浮き沈みが激しい業界だから苦しい時期もあったけど、やばかったら会社を乗り換えればいいだけの話。

役職はマネージャー止まりだったものの、お金のかかる子供がいない分、稼ぎのほとんどを自由に使うことができる。

おかげさまで、ずいぶんリッチでセレブな生活を楽しませてもらった。六本木のマンション、BMWの7シリーズ、スーツは全てオーダーメイド…

さすがに歳をとってくるとそんなに派手にお金を使うこともなくなったけど、若い頃はずいぶん無茶をしたと思う。

貯蓄も数年は困らないくらいは残せそうだし、退職金も出る。

…そう言えば、あと数年で定年退職なんだなぁ。


しかし、このあと僕の人生は“破滅”へと向かい転げ落ちていくことになる。

そんな事になるなんて、この時の僕はまったく予想もしていなかったんだ…。


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破滅の罠① 退職金が少ない…

しかし、定年を迎えた私の生活は一変した。

退職目前になって、私の退職金が期待を大きく下回ることが判明したのだ。

転職を繰り返してきたため在職期間が人より少なく、他のプロパーの社員よりも大幅に退職金が少なくなってしまうためである。

これは大きな誤算だった。

もちろん社内規定をよく確認しておかなかった私が悪いのだが、まさか退職金がたった数百万円だなんて…。

このままでは年金の受給が始まる65歳までお金がもたない。

それどころか今のままの生活を続けていれば、たった2~3年で貯金を喰い潰してしまう計算だ。

60歳の時点で会社を去り、悠々自適な老後を送るはずだったのに…。

ようやく事の重大さに気づいた私は、今まで気にも留めていなかった“継続雇用”の制度を利用して定年以降も働く道を選んだ。

会社に頼み込み、なんとかギリギリセーフで再雇用の道を確保することができた…。これでなんとかなるだろう。

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破滅の罠② 再雇用後の給料が少ない

しかしホッとしたのも束の間、今度は再雇用後の給料が大幅に少ないという事実が分かった。

運良くグループの子会社である警備関連の仕事を紹介してもらえたものの、給料は現役時代の1/3程度。

貰えないよりはマシだが、当然ながら今までの生活は維持できるわけがない。

何とか残業代と休日出勤で小銭を稼ぐものの、歳も歳なのでいつまで体がもつか分からない。

疲労と不安で、眠れない夜が続く。どうしてこんな事になってしまったのだろう…。


破滅の罠③ 生活のレベルを落とせない…

案の定、残業も休日出勤にも限界が来てしまい、体を壊して仕事を休むことが増えてしまった。

当然の如く収入は減るわけで、家計は自転車操業に陥ってしまった。

それもそのはず、家賃も食費も交際費も車の維持費も…月にかかる生活費は現役時代と変わらないのだ。

生活レベルを落とさないと破産してしまう
ことは分かっている…分かっているのだが、なかなかそのための行動を移すことができない。

ご近所の目も気になるし、現役時代の友人との付き合いもある。急に生活レベルを落としてしまっては、どこで何を言われるか分からない。

そんな屈辱、私には耐えられない…。

そうこうしている内に、とうとう私の貯蓄は底をついてしまった。こうなってしまってはどうしようもない。

どうしても月の生活費が足りない時は、大切なコレクションであった腕時計、インテリア、デザイナーズ家具などを一つひとつ売却しながらなんとか喰いつないでいった。


破滅の罠④ 年金が少ない…

しかし悪いことは続くものだ。待ちに待った年金の受給額も、私の期待を大きく裏切る金額だった。

私はたった17万円/月にも満たない年金で、残りの人生を過ごしていくことになった。

現役時代は40万円~50万円を生活費に使っていたのだが、つまりこれからはその半分未満で生活をしていかなくてはならないという事である。

私はついに愛車を手放し、広く快適なマンションを諦め、築30年をこえるアパートに転居することにした。

今までの部屋に比べれば天と地の差だが、こうなってしまっては止むを得ない。

…しかしもっと早くに決心ができていれば、もう少しマシな老後を過ごすことができていたのに…。後悔ばかりが頭をかすめる。

※文中の年金額については、個人的に将来予測される仮説を書いたものであり、現時点の制度・受給額とは異なる場合がございます。


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破滅の罠⑤ 家賃は死ぬまで続く…

私が犯したミスの最たるもの、それは住宅を購入せずに生涯“賃貸派”で過ごしてきたことであろう。

収入がゼロになってしまっても、年金が期待を大きく下回ってしまっても、生きている限り家に住み続けなくてはならない。

死ぬまで家賃を払い続けなくてはならない
のだ。

同年代の人間たちは皆、とっくのとうに住宅ローンの支払いを終えている。

住宅費がかからないならば、17万円の年金でも余裕のある生活を送ることができたであろう。

私の場合は年金の半分程度が家賃に消えていくので、10万円程度で暮らしていかなくてはならない。

あれほどリッチでセレブな生活を送っていた私が、まさかこんな底辺の生活を味わうことになろうとは…。


なるべくひっそりと、死んでいきたい。

毎日が、ただただ退屈で苦痛である。

死にはしないが、生きている喜びを感じることは、皆無だ。

友人にも親戚にも今の生活を知られたくないので、なるべく人を近づけず隠れるように毎日を過ごしている。

寂しさを紛らすため、自然と酒の量が増えていく。

しかし酒で体を壊したら“一発であの世行き”だ。

なぜなら私には、甲斐甲斐しく尽くしてくれる妻も、面倒を見てくれる子供たちも、人を雇えるお金すらもないのだから。

今、私は一日のほとんどを新宿駅のプラットホームで過ごす。

かつて毎日通っていた賑やかな街を眺め、その喧騒を肌に感じることで、なんとか“自分が生きている実感”のようなものを得ることができている。

足早に通りすぎる人々の群をただぼんやりと眺めながら、「あいつは私よりも幸せだろうか?」「あの爺さんよりは、私の方がマシだろう。」…などと、くだらない人間観察をするのが私の唯一の楽しみである。

まぁ、これはこれで“私らしい人生の結末”なのではないかと、最近は無理矢理にでも思うようにしている。

このまま誰にも知られずに、ひっそりと死んでいければ良いのだが――。

*          *          *

いかがでしたでしょうか?

金銭的にも経済的にも充実した現役時代を送っていたはずの冬枯さん。しかしその老後は生活が一変、寂しく不安な毎日を過ごす結果となってしまいました。

では、もう一人の独身男性・福富さんは、どのような人生を送ったのでしょうか?

バラ色の老後ストーリー|独身男性編

[文:Sancho]


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